専門分野名:「都市環境工学」
今日の私たちの人間社会は、地球温暖化、生物の多様性の喪失といった地球環境問題、ヒートアイランドなどの都市特有の地域環境問題が発生し、環境リスクが高まっています。また、地震の活動期に入ったと言われる日本列島に位置し、地球温暖化に伴う風水害の激化、都市化の進展にともなう災害への脆弱性の増大などから、多くの災害リスクに直面しています。
都市環境管理計画研究室では、これらのリスクを軽減できる持続可能な社会、真に環境と調和した安全な都市環境の実現に向けた実践的研究を行っています。研究テーマは大別して、(A)都市防災、(B)自然環境と調和したまちづくり、(C)都市インフラ計画、これらの相互の関連を考えながらテーマを超えて総合的に取り組む(D)都市環境のデザインがあります。
また、地理情報システム(GIS)を研究活動に利用しています。環境を統合的・俯瞰的にとらえる考え方を学ぶとともに、各テーマの研究をGISを基盤とした情報プラットフォームというツールで統合し、分野横断・文理融合の研究を進める方法を身につけることをめざしています。
◇組織
都市環境管理計画研究室は、現在直面している環境問題・災害を多角的にとらえ、情報技術を活用して実践的な解決能力を習得する人材を育てる研究教育を行っています。
平成23年度から始まった大学院「都市イノベーション学府・研究院」に属しています。
また、学部教育では吉田、種市は、平成29年4月に開設された都市科学部建築学科を担当し、「都市環境分野(UE系)」で「都市環境管理計画」に取り組んでいます。
◇おもな特色
都市環境管理計画研究室には次のような特色があります。
① 複雑な環境の問題を多角的、統合的に理解する
災害も環境問題も人間活動とそれを取りまく環境の不具合が現れる現象です。持続可能な生活の場をつくるためには、一面的ではなく、防災面、環境面などの相互関係をふまえて多角的、統合的にとらえ、解決策を考えることが必要です。A~Dのテーマのゼミ活動を連携、交流しながら、そのような力を養います。
② 現場をふまえて実践的に研究を行う。
災害や環境問題の研究は単に現状が明らかになるだけでは意義があるとはいえません。現実に発生している問題や被害をどうすれば軽減、解決できるかまで示す必要があります。また災害、環境問題の区別なく、生活者に適した環境を提供することが必要です。そのためには現場を踏まえて、実践的に取り組む必要があります。私たちの研究室では、現場から学び、成果を現場にいかすことを常に考えながら研究を行っています。
③ 情報技術、特にGISのスキルを身につけて活用する
環境や安全に関する研究を行う上で、めざましい発展を続けている情報技術を十分にいかすことが重要です。地理的な分布や位置が関連する情報を多く扱う必要があるので、コンピュータで地図とその地図上の情報を扱うことができるGIS(地理情報システム)が特に有用です。吉田・稲垣研究室では基礎的なスキルとして、GISを扱える能力を身につけて、それを研究活動に活用しています。
◇全体ゼミと各テーマゼミの位置付け
都市環境管理計画研究室には4つのテーマグループがあります。
この4つのテーマが全体として何を目指しているかということと、個々に今どういう風に動いているかということを理解して、皆がそれぞれの研究課題を掘り下げて研究を行っています。 それは全体としてはもっと横につないでいくと、色んなことが見えてくるということを学ぶために行っているものです。
全体ゼミはむしろ横につなぐ話し合いの場にしたい。各テーマのゼミは、週に1回ずつぐらいそれぞれのリーダーを中心に行いますが、そこでは研究の中身、手法とか分析結果の考察などをやり、全体のゼミの中では、各自の研究をわかりやすく説明する場とします。このように全体ゼミと各テーマのゼミは目的や役割がちがいます。
持続可能な生存基盤となる都市環境づくりを目的としています。
持続可能な生存基盤の条件として、「災害によるリスクの低減」、「環境問題にともなうリスクの低減」、「人間の福利・生活の豊かさ」が挙げられますが、これらをバランス良く満たすことが求められています(環境問題と災害の問題を統合的にとらえて解決策を考える必要があります)。
こんな人材が育ってほしいと考えています。
○ 富士山型人間:一つのことを深く(高く)学びながら、裾野を広げて広い分野の知見を持つ。そしてさまざまな分野を俯瞰、連携し、分野横断の研究や活動を社会で実践する能力をもった21世紀社会が求める人材に育ってほしい。